NITEP談話会

物理・第39回NITEP談話会

Asia/Tokyo
杉本キャンパス F212 第5講義室

杉本キャンパス F212 第5講義室

Description

2023年 12月12日(火) 16:45-18:15
場所: 杉本キャンパス F212  第5講義室
題目:高エネルギー大気物理学から月面物理学の開拓へ
講師:榎戸輝明 准教授(京都大学大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻)

概要:1962年に宇宙X線源が発見されてから60年以上。多様な天体がX線を放射することが明らかになり、X線天文学は宇宙物理学の大きな一翼を担っている。集中講義ではX線天文学を楽しむために必要な知識や観測事実を紹介する一方で、談話会ではX線天文学で培われた宇宙放射線の測定技術を活用した、宇宙線研究の新展開を紹介したい。ひとつは、雷や雷雲の電場により大気中で相対論的なエネルギーまで加速された電子からのガンマ線放射を観測する「高エネルギー大気物理学」の勃興である。雷放電では地球ガンマ線フラッシュ(Terrestrial Gamma-ray Flash)と呼ばれる大強度のガンマ線のバーストが発生し、大気と相互作用して光核反応を起こすことも明らかになってきた。さらに雲内では電子加速によるガンマ線が雷雲ガンマ線(gamma-ray glow)として地上に降り注いでいる。私達はこれらの現象を狙い、手作りの放射線測定器を用いてシチズンサイエンスも活用し、日本海沿岸での観測網「雷雲プロジェクト」を構築している。もうひとつ紹介するのは、これらの技術を応用し月面に衝突する銀河宇宙線を用いた月の水資源探査や、月周辺での放射線測定で狙う「月面物理学」の開拓である。これらのダイジェストを紹介したい。

連絡先:常定 芳基 先生 <tsunesada@omu.ac.jp>