NITEP談話会

第61回NITEP談話会

Asia/Tokyo
Description

日時 2025/11/18    16:00-17:00
場所 理学部会議室(E108)
講師 百瀬孝昌 (ブリティッシュコロンビア大学、教授)

タイトル 光で反物質を操る:反水素原子のレーザー冷却とその展開

概要
反物質は、私たちの世界を構成する物質と対をなす存在であり、その性質の違いを調べることは、宇宙における物質・反物質の非対称性を理解する鍵となる。CERNの国際共同研究ALPHA実験では、最も単純な反物質である反水素原子を生成・捕獲し、その精密分光測定を通じて物質との比較を行っている。近年、121 nmの真空紫外レーザーを用いて反水素原子の運動を制御し、極低温まで冷却することに成功した。この成果により、反水素の1S–2S遷移などの高精度測定や、重力が反物質に及ぼす影響の研究が新たな段階に進もうとしている。本講演では、レーザー冷却の原理と実験的実現、さらに反物質研究の将来展望について紹介する。